研究概要 |
今年度は、Actinobacillus actinomyatemcomitansが産生する細胞壊死因子の精製を試みたが、毒素蛋白の精製および精製毒素蛋白を用いた毒素遺伝子の同定は困難であると結論した。しかし、既に3菌種(Eschelichia coli,Campylobacter jejuni,Haemophilus ducreii)においてその遺伝子クローニングが報告されている毒素cytolethal distending toxin(CdtABC)がHeLa細胞に引き起こす形態変化が、A.actinomycetemcomitansの細胞壊死因子が口腔上皮様培養細胞(KB細胞)に引き起こす形態変化と非常に似ていることから、PCR法とコロニーハイブリダイゼイション法を用いてA.actinomycetemcomitans29522株のcdt遺伝子をクローニングし、その遺伝子配列を決定した。得られたA.actinomycetemcomitans2952訓株のCdtABCは、A.actinomycetemcomitansと最も近縁であると考えられるH.ducreii菌のCdtABCに最も高い相同性を示した。次に、CdtA,B,C蛋自をそれぞれ個別に大量発現する大腸菌の系を構築し、抗原蛋白の精製法を確立した。現在、それぞれの精製CdtA,B,C蛋白を用いてウサギを免疫し、ポリクローナル抗体を調整中である。
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