研究概要 |
Simonet et al.(1997)によって発見されたosteoprotegerin(OPG)は,TNF受容体類似の可溶性タンパク質で,破骨細胞形成を著しく阻害する.これは,ストローマ細胞の細胞膜上に発現しているTNFリガンド類似タンパク質である破骨細胞分化因子(ODF)の働きを阻止するためだと考えられている.そこで,OPGとODFの相互作用と機能解析を行うために,ヒトOPGのC-末端にMycおよびヒスチジンタグ(His6-Tag)をつけたリコンビナントOPG-His6,およびマウスODFの細胞外ドメインにヒスチジンタグをつけたリコンビナントODF-His6をそれぞれタンパク質として作製した.マウスの骨髄細胞と骨芽細胞様間質細胞の共存培養系に,リコンビナントOPG-His6(500ng/ml)加えたところ,破骨細胞様細胞形成はほぼ100%抑制された.本研究で作製したヒスチジンタグを付加したリコンビナントタンパク質の利点は,Ni-NTA-agaroseビーズで回収できることである.この利点を利用し,ストローマ細胞ST2にvitamin D3を作用させてODFを発現誘導したとき,培養上清中に遊離型のODFが存在していることが証明できた(Nakashima et al.paper in preparation).一方,破骨細胞の生存に関する研究も行った.マウスの破骨細胞様細胞は,培養を続けることにより自発的にもアポトーシスを起こすが,一酸化窒素(NO)発生剤であるNOC-18(400μM)あるいは,ビスホスホネートであるパミドロネート(100μM)を加えることにより,アポトーシスの頻度は増加する.これらの破骨細胞のアポトーシス過程は,リコンビナントODF-His6によって著明に抑制された(金岡ら,1999 in press).
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