破骨細胞はストローマ細胞と接触しており、細胞間の接触は破骨細胞の形成、骨吸収活性の維持、延命において重要であることが指摘されてきた。そこに関わる因子は今まで不明であったのだが、近年、ストローマ細胞に発現している膜結合型TNFスーパーファミリータンパク質であるODF(破骨細胞分化因子)が、その本体であることが発見された(Yasuda et al.1998)。我々は、このODFのストローマ細胞での発現様式を知るために、ODFの検出システムを構築した。システムの概要は、ODFのおとり受容体であるosteoprotegerin(OPG)をビーズに固相化し、ODFをOPGと結合させた状態で沈降させ、SDS-PAGEで展開後にODFを特異抗体を用いたWestern blottingで検出するものである。OPGはC-末端にヒスチジンタグ(His6)を付加したリコンビナントタンパク質としてバキュロウィルスで発現・調製したものを用いた(OPG-His6)。ストローマ細胞であるST2細胞をvitaminD3とdexamethazoneで処理すると、ODFの産生が認められ、培地の交換をしない場合、48時間後にピークを示した。このとき、存在量はわずかであるが遊離型のODFも認められた。一方、新生マウス頭蓋骨由来の骨芽細胞様細胞をvitaminD3とprostaglandinE2で処理すると、やはり時間依存的にODFの産生が認められた。骨芽細胞様細胞の場合、dexamethasoneよりprostaglandinE2がODF産生に対しては有効であった。ST2細胞の場合と異なり、遊離型ODFの産生はほとんど認められなかった。ところが、細胞をホルボルエステル(PMA)とionomycin処理すると、遊離型ODFを産生した。このことから、プロテインキナーゼC依存的な遊離型ODF産生機構の存在が予測された。
|