プテリジン補酵素生産のCa^<2+>依存性protein kinaseによる制御機構を明らかにするため、精製の困難なプテリジン補酵素を直接生成するセピアプテリン還元酵素(SPR)を、大腸菌により大量発現させた。まず、ラット、ヒトそれぞれのSPR cDNAを、既知の塩基配列に従いPCR法によりクローニングした。そのcDNAを発現ベクターに組み込み、SPRをそれぞれ発現させたととろ、nativeに存在する酵素と同様の活性能をもつリコンビナントSPRを得ることに成功した。このリコンビナントSPRを用い、[γ-^<32>P]ATPを用いたオートラジオグラフィーによるタンパク質リン酸化を検討した結果、SPRはcAMPやcGMP依存性のprotein kinaseではリン酸化されないが、calmodulin-dependent protein kinase II(CaM KII)やprotein kinase C(PKC)のCa^<2+>依存性protein kinaseによってリン酸化されることが判明した。さらに、SPRはCaM KIIやPKCによってリン酸化されることにより、細胞内Ca^<2+>活性化proteaseであるcalpainに対するsusceptibilityが変化することが判明した。また現在は、リン酸化がSPRの触媒部位や基質結合部位にどのような影響を及ぼしているのか解析するために、SPRの触媒部位や基質結合部位の決定とリン酸化部位の決定をオリゴヌクレオチドを用いた突然変異導入法を用い、変異型を作製することにより行っている。
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