研究概要 |
プテリジン補酵素生産におけるCa^<2+>依存性protein kinaseの制御機構を明らかにするため、セピアプテリン還元酵素(SPR)の触媒部位とリン酸化部位の決定を行った。まず、精製の困難なSPRを大腸菌により大量発現させ、硫安分画とアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。触媒部位と考えられる部分のアミノ酸を他のアミノ酸に変換したポイントミュータントSPRをsite-directed mutagenesis法でそれぞれ作製した。ミュータントSPRとnative SPRの基質と補酵素に対する活性を比較することにより、チロシン171、セリン158、リジン175がSPRの触媒部位であることが決定された(BBA誌,1431,306-341,1999)。またSPRをCaM KIIでリン酸化し、抗セリン/スレオニン抗体で反応を見た結果、セリン残基のみがリン酸化されていることが判明した。そこで、CaM KIIでリン酸化したSPRをリジルエンドペプチダーゼ処理し、それぞれのフラグメントをHPLCにより分離した。リン酸化されたペプチドをシークエンスした結果、CaM KIIリン酸化コンセンサスシークエンス(X-Arg-X-X-Ser/Thr)を3つ含んでいた。以上のことから、リン酸化されていると考えられるセリン46、セリン169、セリン214をアラニンに変換させたポイントミュータントSPRを作製した。その結果、全てのセリン残基をアラニンに変換させたミュータントSPRは、CaM KIIによるリン酸化を全く受けなかったが、それぞれ1つのセリン残基を残し、他をアラニンに変換させたミュータントSPRはリン酸化された。このことより、セリン46、セリン169、セリン214がCaM KIIによってリン酸化されるアミノ酸であることが決定された(in contribution)。
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