この研究の目的は、日本人で未だ検出されていないTrimethylamiuria(Fish Odour Syndrome)の患者を検出することであり、腎透析患者においては、その前後で、トリメチルアミンの分泌量に変化が生じるか、検討することである。 既存器機のサンプリング方法を変更する為に、既に導入されたオートインジェクションシステムの、消耗部品を交換し、ガスクロマトグラムの妨害ピークを除去した。また、微量なガスを検出するために、キャリアガスなどに、ハイドロカーボントラップ、モイスチュアトラップ、活性炭トラップを繋いだことにより、ベースラインが安定した。 トリメチルアミンの検出限界は、標準ガスの発生可能な4.6ng/10mlであった。それ以下は定量が不可能であった。定量できた患者4名の尿について、同じ患者でもばらつきが大きく、トリメチルアミン量は、0.06mg/mgcreatinine〜0.88mg/mg creatineとなった。 現在、このばらつきについては、食事の影響や、尿の保存方法、分析条件、カラムの種類、分析前のサンプルの処理方法に関する問題点の可能性を考え、検討中である。 また、腎不全患者に対する体臭や口臭に対するアンケートは心理面の難しさもあり、回収に苦慮しているが、ひとり、腎臓移植後に汗の臭い(体臭)がかなり変化したと自覚している者がいた為、先天的なFish OdourSyndromcによるトリメチルアミンの排泄障害だけではなく、腎機能不全によるものからの検出にも、今後、期待している。
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