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1998 年度 実績報告書

唾液腺腫瘍におけるEBウイルス.熱ショック蛋白の発現

研究課題

研究課題/領域番号 10771039
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

丸岡 靖史  東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80209692)

キーワードEBウイルス / 熱ショック蛋白 / 唾液腺腫瘍
研究概要

EBウイルス(EBV)はヘルペスウイルス群に属する。唾液を介して伝掃し、ウイルスはまず口腔内の上皮細胞へ感染し、そこでの増殖を経てBリンバ球に感染すると考えられており、潜伏感染のかたちで終生維持される。頭頚部腫瘍では上咽頭癌との関連が認められており、近年唾液腺腫瘍との関連も示唆されるようになってきた。高温などのストレスから細胞を守る一群の蛋白質heat shockprotein(HSP)は病原ウイルスと宿主細胞の相互作用のなかで、発現誘導されることがわかってきたが、EBVの感染とHSPとの関連に関する報告はないため、唾液腺腫瘍組織中のEBV,HSPの発現を免疫組織化学的ならびに、In situ hibridization (ISH),PCR,でEBVゲノムの検出を行った。対象および方法:当科で治療を行った唾液腺腫瘍50例のホルマリン固定パラフィン包埋組織を用いてEBV(LMP,EA-D,EA-R),HSP70の免疫染色をABC法にて行った。ISHではEBV潜伏感染細胞に特異的に発現するRNAEBERとlitic phase の感染細胞に発現するRNA,BHLFをNBT-BCIP法で検出した。EBVゲノムはBam HI-K領域中の209bpを増幅するブライマーを使用し、EBNAlをPCRで検出した。結果わよび考察:免疫染色では多形性腺肺30例、多形性線種内癌2例、腺様嚢胞癌4例、粘表皮癌3例はいずれも陰性であったが、Warthin 腫瘍10例、好酸性腺肝1例はすべて陽性で線種部分にEBV,HSP70の発現がみられた。ISHでは、EBERはWarthin肺瘍の線種部分およびリンパ濾胞部リシパ球の一部の核に一致してシグナルが認められたが、BHLFの発現は認めれなかった。PCRでは、Warthin腫瘍(10/10),好酸性線種(1/1),多形性腺肺(12/30),多形性腺腫内癌(1/2),腺様嚢胞癌(2/4),粘表皮癌(2/3)にEBVゲノムが検出された。現在ほとんどの成人がEBVの不顕性感染を受けているにもかかわらず、上咽頭癌などのEBV関連腫瘍の発生率が極めて低いことを考慮すると、Warthin腫瘍においてEBV感染を認め、HSP70発現誘導も示唆されたが、ISHではEBV感染細胞は少数であり、腫瘍化においてもEBV感染以外の様々な因子が多段階に関与してと考えられる。今後は高感度なISH-PCRを用いて唾液腺腫瘍組織中のEBVゲノムが検出を行う予定である。

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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