本研究では、根尖病変に伴う骨吸収に甲状腺および副甲状腺摘出によるCTおよびPTH分泌抑制が及ぼす影響を検討した。実験開始時、各実験群のラット体重はControl群(254.3+5.2g)に対して、甲状腺摘出群(165.6+6.8g)および副甲状腺摘出群(154.0+5.4g)は有意に減少していた。実験開始後1週時では各実験群に有位な体重増加の変化は認められなかったが、実験開始後3週時では、Control群の体重増加に対して甲状腺摘出群および副甲状腺摘出群の体重増加は約1/2しか認められなかった。根尖病変に伴う骨吸収面積の測定において、実験開始後1週時にいずれの実験群においても根尖周囲に骨吸収像が認められたが、各実験(摘出)群とControl群間に有意差は認められなかった。一方、実験開始後3週時では、副甲状腺摘出群(4.8±1.2μm2)とControl群(2.8±0.6μm2)間に有意差が認められた。以上の結果より根尖病変における歯槽骨の吸収には、病原因子である根管内細菌などの局所因子だけでなく内分泌ホルモンが密接に関与している可能性が示唆された。
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