本研究の目的である、(1)BCP(二相系リン酸カルシウム系セラミックス)を製作し、それをGBR(骨誘導再生法)に併用した場合の骨の新生時、改造時の状態の検索、(2)BCPの生体内における挙動の観察を行い、以下に示す若干の知見を得た。 1.埋入材料のBCPの製作。BCP顆粒を構成しているHAPとβ-TCPの重量比は、過去の我々の研究の結果から、「6:4」とした。 2.ウサギ頭頂骨上で用いる、GBR膜の製作。当初ゴアッテクス膜を用いる予定であったが、機械的強度が不十分であり不規則な変形が生じ、所期のGBRが観察されず、それにより新生骨、埋入材料の組織計量が困難であることが判明した。そこで、PTFEのシートを採用し、これをチタン製の金型により加熱成形することにより、任意の形態で十分な強度を示す半球状のフレームを得ることが出来た。 3.BCPをアテロカラーゲンと複合し、PTFEフレームに満たし、実験材料とした。 4.日本白ウサギの頭頂骨上の左右の一方に上記実験材料を埋入し、もう一方にはPTFEフレームのみを埋入し対照群とした。 5.この手法により、BCPをGBRに併用することによる骨造成時の骨質の改善について、比較、検討できることが示唆された。
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