研究概要 |
本研究では陶材前装冠やラミネートベニヤ製作への適用を想定した自動築盛システムの開発を目的とし,築盛時のワークの姿勢制御機構とその制御アルゴリズムについて検討した.従来の試作装置は姿勢制御の自由度が不足していたため,築盛方向が限定されていた.そのため形状測定や築盛が困難な箇所があったが,自動傾斜ステージの追加によって改善された.また従来の自動築盛プログラムは多方向からの築盛に対応しておらず,適宜手動でワークの姿勢を変える必要があった.新しいプログラムではあらかじめ複数の築盛方向とそれに対応する形状データを指定できるようにした.そして築盛の進行具合を築盛された陶材の体積から算出し,それに応じてワークの姿勢を自動的に切り替えられるようにした.また従来のプログラムにおいて,蒸留水の供給は陶材粉末の供給と交互にしか行えず,自動ステージの制御など他の処理を行っているときは湿潤状態の制御を中断していたが,制御プログラムを独立させ,並列処理させることで連続的に行うことが可能となった.ワークを大きく傾斜させても形状が崩れないようにするには築盛時の蒸留水供給量を抑える必要があったが,供給量を少なくすると築盛体表面が粗雑になるという問題が生じた.少ない蒸留水供給量で滑らかに築盛する方法として,築盛体の表面を軽く圧接することが考えられた.そこでリニアアクチュエータに球状圧子を装着したプレス装置を試作し,その基本的な動作を確認した.しかし圧子の材質や形状,自動ステージや湿潤状態の制御との連動については引き続き検討を要することが分かった.
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