研究概要 |
本研究は,スプリント療法の適用と判断された顎関節症患者の,スプリントの装着時間および時間帯を変えて治療を行い,治療に伴う各臨床症状の変化を検索し,装着時間が顎関節症の治癒経過に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,本年度は,終日のスプリント装着患者11症例,および夜間のみのスプリント装着患者6症例において,スプリント装着時間の違いによる各臨床症状の平均治癒期間と消失過程に関する検索を行った結果,以下のことが明らかになった. 終日のスプリント装着患者における主要症状の消失過程に関しては,自発痛,咀嚼痛,開口痛,開口制限,顎関節雑音の順で平均治癒期間が短かった.また,触診による各部位の圧痛の消失過程に関しては,側頭筋中後部,側頭筋前部,外側翼突筋部,顎関節部,胸鎖乳突筋,咬筋深部,内側翼突筋,咬筋浅部,顎二腹筋後腹の順で平均的治癒期間が短かった.症状消失までに要した回数は3回から13回までに分布し,平均治癒回数は6.11±2.61回であった.夜間のみのスプリント装着患者6症例においては,自発痛,開口痛,咀嚼痛,開口制限,顎関節雑音の順で平均治癒期間が短かった.また,触診による各部位の圧痛の消失過程に関しては,側頭筋中後部,外側翼突筋部,側頭筋前部,咬筋深部,胸鎖乳突筋,内側翼突筋,顎関節部,顎二腹筋後腹,咬筋浅部の順で平均治癒期間が短かった.症状消失までに要した回数は3回から9回までに分布し,平均治療回数は5.66±2.33回であった. 以上より,各臨床症状の消失順位および平均治癒期間に違いがある可能性が示唆された.
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