研究概要 |
筋電図を用いずにブラキシズムを検出する方法を開発することを目的としてひずみゲージを上顎全歯列型スプリントの左右小臼歯咬合接触部位に埋入したブラキシズム検出装置を試作した.本装置は上下顎歯列間に生じる圧力をスプリントに埋入したセンサで検出することによりブラキシズムを測定しようとするものである.この装置の検出器としての妥当性を証明するために,被験者に実験室にてブラキシズムをシミュレートした被験動作,すなわち,クレンチング:リズミカル・クレンチング,グラインディング,タッピング等を行わせこれらの動作を咬筋から導出した表面筋電図と同時測定しこの装置の特性を検討した.さらに,睡眠実験室にて実際の夜間睡眠時ブラキシズムの終夜測定を試みた.その結果,筋電図を至適基準とすると,ひずみゲージからの出力を用いたブラキシズム検出のための最適閾値は咬頭嵌合位での最大咬みしめ時の出力の10%であることが明らかになった.この閾値を用いて前述の各被験動作を検出した場合,得られた持続時間はすべての被験動作について筋電図を用いて得られた持続時間と高い正の相関を示した(p<0.01).さらに睡眠中の実際のブラキシズムを測定した結果,筋電図を至適基準とした場合の感度は0.85,持続時間の相関は0.77(p<0.001)であった.以上の結果から本装置がブラキシズムの計測に有用であることが示唆された.
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