研究概要 |
歯を失った患者の飛躍的なQOL向上を目指し,良好な機能や優れた審美性を回復できる治療法として,インプラント治療が広く行われる様になってきた。しかし,顎骨が高度に吸収した患者においては,インプラントの適応も困難となることが多く,残存顎堤の幅および高さを増すための骨造成に高い関心が集まっている。そこで,異所性に骨を誘導できる成長因子として注目され骨芽細胞誘導因子(BMP)と,骨造成を促進する線維芽細胞増殖因子(FGF)を組み合わせて骨造成材料とすることにより,極めて短期間での骨造成が可能になると着想し,本研究では,これまでin vitroでのみ検討されてきた骨形成と各種成長因子との関係をin vivoで検討していくための新しい動物実験方法の確立と,各種成長因子の最適な投与量および投与方法の合理性を明らかにすることを目的とした。 本年度は,まず動物実験モデルを確立するために,ラット下顎骨骨体部にBMPを含む同種脱灰骨を填入した材料埋入用フレームを埋入し,6週後のフレーム内およびその周囲組織の組織学的観察を行った。その結果,6週後にはフレーム内部に骨の新生が認められ,本実験モデルは骨形成における各種成長因子の影響に関して検討するための動物実験方法として有用であることが示された。
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