研究概要 |
前年度の結果,ゼラチン含有灰分,とくに牛骨由来のものはラット頭蓋骨に対して有効であった.骨芽細胞を用いた試験では,DNA量やアルカリフォスファターゼ活性が灰分無添加の対照に比ベ低い値を示したことから,平成11年度では動物実験と培養細胞試験の結果が相反することに着目し,検索項目を細胞の機能面に注いだ.平成11年度では,平成10年度に用いたラット頭蓋骨由来骨芽細胞(RCOB)に加え,ヒト骨肉腫由来骨芽細胞(HOS)株を用いた.平成10年度と同様に,牛骨と豚皮由来のゼラチン含有灰分,ハイドロキシアパタイトをそれぞれ0.01%(w/vol)添加した培養液で培養を行った.RCOBを用いた試験では,平成10年度と同様の結果が示された.即ち,増殖の遅延アルカリフォスファターゼ活性の低値であった.また,RCOB機能亢進の指標としてラットオステオカルシン産生量の測定を行ったが、いずれの例においても検出限界以下であった. -方,HOSによる機能亢進の指標として,ヒトGla蛋白とProcollagen Type1の産生量の測定を行った.その結果,ヒトオステオカルシンの産生量に関しては灰分添加の効果は認められなかった.これに対し,Procollagen Type1の産生量では、牛骨由来のゼラチン含有灰分とハイドロキシアパタイトを添加した培養液で培養した場合において,豚皮由来のゼラチン含有灰分と灰分無添加の対照よりもその産生量が多かった.以上,平成10年度,平成11年度の結果から,牛骨由来ゼラチンに含まれる灰分は,ラット頭蓋骨において骨伝導性に優れており,ヒト骨肉腫由来HOS細胞に対して,Procollagen type1の産生を促すことが確認された.
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