我々は、生体分解性の高分子材料を担体として使用し、BMPをその担体内部に含包させ、薬物の放出制御を行う事により有効な骨を作ることが出来るのではないかという仮説のもとに実験をおこなっている。rhBMP-2含有PLGAカプセルの作製は、PLGAを用いて、磯部らがすでに報告している液中界面沈殿法により行った。骨再生実験では、ウサギ(ニュージーランド白色種)を使用し橈骨に15mmの骨離断欠損を作製した。実験群ではrhBMP-2/PLGAカプセル13mg(12μgのrhBMP-2を含有)を移植し、X線的、組織学的に観察した。さらに再生骨の評価を術後24週時にDXA装置によって骨面積、骨塩量、骨密度を測定することで行った。また、再生骨の力学的試験を骨ねじり試験で行った。X線的観察で術後6週に骨様の不透過像が骨離断部をつなぐように見られた。また、その骨様の不透過像は24週まで消失することはなかった。また、コントロール群についてはほとんど骨様の不透過像は見られなかった。さらに、再生骨の力学試験では、健常な骨と同等の力学的特性を示した。リコンビナントBMPは、実際の使用に際してはBMPを移植した場所にとどめておくべき担体が必要である。ウサギ15mm骨離断欠損部において12μgのrhBMP-2の使用によって有効に骨修復をすることが出来た。この結果は、これまで報告されているなかでも最も優れていると考えられるデータに匹敵するものであり、rhBMP-2/PLGAカプセルは骨再生に有効に作用していることがわかった。さらに、再生骨の優れた力学的特性はrhBMP-2含有PLGAカプセルの臨床における有用性を強く示唆するものであった。
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