現在まで以下の様に実験を行った。 実験材料には、体重7〜8kgの第三大臼歯が萌出完了した推定歯牙年齢8.5歳以上で体重7〜8kgのニホンザル(Macaca fuscata)の雌23頭を用いた。実験方法は、21頭のニホンザルに対し、屈曲したチタンミニプレートを左側頬骨弓上に2か所スクリューを用いて固定し、下顎頭の前方滑走運動を制限した。正常対照群として2頭を供した。実験群は、術直後より通常の顎運動を行うように固形飼料、およびサツマイモを飼料として通常の摂食をさせた。また、術後3日目まで感染予防の目的でCrystalline Penicillih G Potassium20万単位/日を筋肉注射した。 手術方法はPentobarbital Sodium0.4kg/kgの静脈麻酔下に左側耳前部を剃毛、消毒後、約3cmの耳前切開を行い、顔面神経の損傷に注意を払いながら鈍的に各組織を剥離し、顎関節部を剖出した。次に関節包を明示後、頬骨弓に沿って切開を加え、顎運動を徒手的に行いながら、下顎頭が滑走運動する直前の位置で屈曲したL字型チタンミニプレートを頬骨弓に2か所スクリューを用いて固定し、下顎頭の前方滑走運動を制限した。 非実験群および術後10日、20日、40日、60日、80日、120日、180日の計7群の観察日を設け、静脈麻酔下に瀉血処理し、2.5%Glutaraldehydeによる灌流固定後、両側総頚動脈よりシリコンラバー系血管造影剤を注入し、造影剤硬化後、左側顎関節部を側頭骨、下顎枝の一部を含めて一塊として採取した。 今後、非脱灰研磨標本を作製し観察を行う予定である。
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