口臭の原因となる疾患の中でも、歯周病はその原因疾患の筆頭に挙げられている。そしてその原因菌とみなされているBacteroides属、Fusobacterium属などの歯周病原性細菌は、その代謝産物としてVSC(揮発性硫化物)をはじめ、VFA(揮発性脂肪酸)やアンモニア等を産生していることが報告されており、これらの物質は同時に口臭の原因となる臭気物質でもある。今回の研究の目的は、歯周病原性細菌に対する免疫応答において、これらの臭気物質が抗体産生能にどう影響するかを、マウスの免疫系の細胞を用いてin vitroで検索することであった。 最終的には、歯周病原性細菌の抗原成分で十分に感作されたマウスの免疫系細胞を各種臭気物質で刺激しながら培養し、それらの物質が細胞の抗体産生能にどう影響するかをみることを企図しているが、そのためには各抗原に対する抗体産生量が、実験に供与できる程度に十分上昇する系を確立せねばならなかった。そこで、マウスの種類や抗原調整方法および免疫方法について、ELISA法を用いて予備的な検討を加えた結果、マウスはBALB/c種、抗原は全菌体あるいは超音波破砕物、また免疫方法は1週間のインターバルをおいて2回皮下免疫し、さらに1週間後に腹腔内投与する方法を採用することとした。 現在、この免疫条件の下で感作したマウスの牌細胞を用いて、再刺激する抗原の濃度や培養期間等を決定するための検討を加えている段階である。これらの条件が決定され次第、潅流チャンバーを用いて臭気物質を作用させながら培養を行ない、企図している最終的な実験段階へ着手する予定である。
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