研究概要 |
本研究は,嚥下時の外舌筋活動を解明するため被検動物としてウサギを用いて行った.試験試料にpelletを用い,下顎運動および外舌筋筋活動を記録した.甲状舌骨筋の発火を認めた周期の最大開口時から次の最大開口時までを嚥下周期と規定した.甲状舌骨筋の発火を認めない周期の下顎運動の最大開口時から次の最大開口時までを咀嚼周期と規定した.嚥下周期の最大開口時を0とし,各筋の筋活動開始時間,筋活動持続時間を計測した.また咀嚼周期についても同様の計測を行い,比較検討した.結果を以下に示す.1,嚥下周期における筋活動の特徴:(1)下顎運動は咀嚼周期と比較し開口相の時間が延長し,周期時間が延長した.(2)顎舌骨筋の筋活動は,咀嚼周期と比較し筋活動開始時間が早くなり,筋活動持続時間が延長していた.またその活動は閉口相前半で開始し,次の周期の閉口相まで続いていた.(3)茎突舌筋の筋活動は,咀嚼周期と比較し筋活動持続時間が延長していた.またその活動は閉口相前半で開始し,開口相後期まで続いていた.(4)オトガイ舌筋の筋活動は,咀嚼周期と比較し閉口相前半から閉口相後半までの活動が出現した.2,嚥下周期におけるの各筋の発火のタイミング:咬筋,茎突舌筋,オトガイ舌筋,顎舌骨筋,甲状舌骨筋の中で,咬筋は最も早く活動し,甲状舌骨筋は最も遅く活動していた.しかし茎突舌筋,オトガイ舌筋,顎舌骨筋の間には有意差が認めれなかった.これらの結果から外舌筋は嚥下時にある一定のパターンをもって活動し,その活動は咬筋,甲状舌骨筋とは異なったタイミングで活動していることが示唆された. 【今後の研究の展開に関する計画】 嚥下時における外舌筋活動が,どのような機能をもって活動しているかを解明する.そのために試験試料の性状を変化させ,今回観察された筋活動に変化がみられるかを検討する.
|