1. ラット歯根膜細胞、骨膜細胞の調整と性状 6週令ラットの上下顎切歯および大腿骨より歯根膜、骨膜を剥離しoutgrowth法により細胞を調整した。歯根膜細胞は敷石状の形態、骨膜細胞は紡錐状の形態であった。それぞれのprimary cultureの細胞からtotalRNAを抽出し、逆転写反応を行った。両細胞ともRT-PCR法によりAlkaline phosphatase遺伝子の発現がみられた。 2. Differential display PCR法による発現遺伝子のdisplayと特異遺伝子の検索歯根膜、骨膜細胞から調整したtotal RNAの逆転写物に対して、differential display PCRを行った。展開した遺伝子断片のうち歯根膜細胞に特異的にみられるバンドを切りだし、再度PCR反応にて増幅した。8種類のプライマーの組み合わせによる反応を行い、増幅可能であったクローンをプラスミドベクターに組み込んだ。そのうち最終的に11クローンのsequenceが解読可能であった。これらの遺伝子断片のsequenceについてGenBank/EMBL/DDBJデータベースに対して相同性の検索を行った。このうちひとつのクローンをのぞいて、既知の遺伝子および既存のsequence tagとの有意な相同性はみられなかった。既知の遺伝子は細胞骨格に関係する構造蛋白質であった。次に未知の遺伝子断片3種よりprimerを設計し、RT-PCR法により歯根膜、骨膜細胞間でのmRNA発現の差異を検討した。その結果両細胞間でmRNAの発現量の明らかな差がみられなかった。 本年度の実験によっては、歯根膜細胞に特異的に発現する遺伝子はいまだ得られていない。
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