頭蓋顎顔面領域においても骨延長法が導入されつつあり、その臨床的成果が報告されている。しかし治療計画を立案するための基礎的な裏付け(延長速度や延長開始時期)に乏しく、治療が経験側の上に成り立っているのが現状である。骨延長法において生体に生じるメカニカルストレスを含んだ生体反応を、実験的に再現することは難しく、その一部を解析するに留まっている。 そこで本研究では、骨延長手技における待機期間(waiting period)の違いが仮骨形成におよぼす影響を解析するため、骨離断から延長開始までの期間に変化を与え、仮骨形成段階の3次元的な形態学的・組織学的比較を行うことにより、仮骨効率として検討した。 測定の対象として生後10週齢・雄性・日本白色家兎の脛骨を用い、骨離断後の待機期間(waiting period)を1日、7日、14日に設定した。延長終了後4週目における各群の延長骨を、Soft X-ray・pQCT及びμCTにて評価をおこない、また組織像の観察も行った。尚、Soft X-rayについては、骨離断から屠殺時まで経時的に撮影を行った。 本研究の結果、延長開始時期が異なる仮骨は、形態および骨質(骨密度、組織像)に差が生じることが示唆された。
|