研究概要 |
最初に高次脳機能の評価を簡便におこなうために、既存の脳高次機能評価スケールから口腔ケアと関連の深いものを抜粋複合した口腔ケア高次脳機能評価スケール(仮題)を作成した。これは1,見当識、2,数唱問題、3,数唱学習、4,5つの物品名の即時想起、5、5つの物品名の5分後再生、6,類似問題、7,7シリーズ、8,動物名想起、9,仮名ひろいテスト、10,図形模写、11,図形の5分後再生、12,直線の二等分の計12題の質問項目からなり、1人約12分と簡便であり再現性にすぐれているものを作成した。これを用いて東京歯科大学市川総合病院、歯科口腔外科受診中の患者で日常診療において度重なる口腔清掃指導にも関わらず口腔清掃状態の改善の認められない患者21名に対しスクリーニング検査を行った。結果21名中14名に脳高次機能障害の可能性を認めたため、全例、脳神経外科にて脳の評価(CT、MRI等の画像検査含む)をおこなうとともに、視覚障害の可能性の高い5名を眼科にて視覚の評価を行った。また14名中7名をさらに細かな評価を行うために精神・神経科にて構成失行、運動失行、観念運動失行、観念失行、身体失認、半側無視、左右弁腹障害、手指失認、視空間認知の評価をおこなった。口腔に関する評価は残存歯数、その状態、補綴物、口腔清掃状態、口腔ケア自立度の評価を行なうとともに、これまでの口腔清掃指導の経過と評価記録を再度確認し検討を行った。現在、口腔清掃状態を含めた口腔の状態と高次脳機能障害の相関について検討を行っている。 今後は相関のあった症例について口腔ケア、高次脳機能の両面から検討し、これを考慮した口腔清掃指導を再度行い再評価を繰り返し、高次脳機能からみた口腔ケアマニュアルの作成を行う予定である。
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