研究概要 |
我々はこれまでデンタルプレスケールの再現性や保存・測定条件についての基礎的研究を行ってきた。そして,今回はデンタルプレスケールを用いて第二乳臼歯の咬合力,咬合接触面積,最大咬合圧力および平均咬合圧力を測定し,永久歯列における不正咬合を予測することを目的としている。 1998年度はその基礎的研究として,IIA前期,IIA後期,IIC期の小児を対象に,齲蝕や修復物が咬合力や咬合接触面積に与える影響を調べ,齲蝕群や修復群は健全群に比べ咬合機能の低下が認められた。また,全群ともIIC期になると咬合機能の発達が一時的に停止し,特に齲蝕群のIIC期は低下が著しかった。 さらに,正常咬合者と不正咬合者(過蓋咬合群,交叉咬合群,切端咬合群,叢生群,上顎前突群,反対咬合群,開咬群)の咬合力,咬合接触面積について横断的に調査し,不正咬合群のほうが正常咬合群に比べ低い値を示した。また,上顎前突群,反対咬合群および開咬群は他の群に比較し有意に低い値を示し,特に開咬群は両側第二乳臼歯のみの咬合で,著しい咬合機能の低下が認められた。従って,乳歯列期においても上顎前突,反対咬合および開咬群は正常な咬合機能の発達に導くためにも早期の咬合改善が必要であると示唆された。 これらの結果をもとに,次の段階として齲蝕,修復物などの影響を考え,第二乳臼歯における咬合状態別の咬合力,咬合接触面積,最大咬合圧力および平均咬合圧力について比較し,各歯齢期における横断的研究を行う。その後,現在採得できているIIA期の被験者に対して継続的にデンタルプレスケールを採得し,永久歯列における不正咬合と乳歯列期および第一大臼歯萌出時における第二乳臼歯の咬合力,咬合接触面積,最大咬合圧力および平均咬合圧力との関係を調査し,永久歯列における不正咬合を予測することが可能か調査する。
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