研究概要 |
歯周疾患におけるsusceptibility(易感受性)を把握するためには、遺伝的素因を解明する必要がある。炎症性サイトカインのインターロイキン1(IL-1)や腫瘍壊死因子(TNF)は歯周組織の破壊に関わることが知られているが、近年それらサイトカインには遺伝子多型が存在することが報告されている。なかでもTNFαは、産生量の違いと遺伝子多型との関連性が報告されており、疾患との関連が示唆される。 本年度は、まず健常者由来の末梢血単核球を歯周病原細菌で刺激、培養した際のTNFα産生量が、被験者によって異なるかを検討した。即ち、健常者20人を対象とし、末梢血よりヘパリン加採取後、比重遠心法で分離した末梢血単核球(PBMC)をConA(10μg/ml),P.g-LPS(100,1000ng/ml)で刺激(6,18hrs)した際のTNFα産生量をELIS kitで測定した。結果として、ConA刺激,18hrs培養において、TNFα産生量の高いグループ(3名)と、低いグループ(17名)が存在することが分かった。しかも高いグループに属する被検者は、いずれの刺激においても全て一致しており、刺激の種類によらず、遺伝子多型との関連性が示唆された。 現在我々は、引き続きTNFα遺伝子多型との関連性を検討するため、TNFα Promoter/enhancer regionをPCR増幅後、T-A cloning法及びAuto sequencerにてシークエンス解析を行い、ハプロタイプを決定し、多型の有無について検討中である。更に、PCR-SSOP法にて歯周炎患者のTNFα遺伝子多型をタイピングし、またIL-1遺伝子多型についてはPCR-RFLP法によって検出後、疾患とこれらサイトカインの遺伝子多型との関連について検討予定である。
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