脱灰骨基質と脱灰象牙質基質に含まれる各種の硬組織成長因子および、歯根膜細胞の組織再生誘導に対する役割を検討するため、以下の実験を行った。 ウィスター系14週齢ラット上顎第一大臼歯から剥離、細断した歯根膜細胞を培養し、コラーゲンゲルと混和、脱灰骨基質および脱灰象牙質基質表面に重層させ、12週齢ウィスター系ラット背部皮下に同時移植した。術後、2および4週で屠殺、10%中性ホルマリン固定後、EDTA脱灰、パラフィン包埋し、HE重染色およびosteopontin(以下OPN)、bone sialo protein(以下BSP)に対する免疫組織染色を行い、光顕観察を行った。 その結果、2週試料では両基質表面および両基質間での硬組織形成量は少なく、培養歯根膜細胞の有無では明確な差がみられなかった。 基質表面および新生硬組織表面にOPNおよびBSPの発現がみられた。 4週試料では、両基質間に旺盛な硬組織の新生がみられ、リモデリングも観察された。また一部に骨髄様組織も形成されていた。形成量は歯根膜細胞を重層させた試料で、やや少ない傾向にあった。両基質表面に新生された硬組織同志が接する試料は少ない傾向にあり、一部試料に歯根膜腔様の空隙がみられた。 基質表面と新生硬組織表面、また新生硬組織同志が接する境界部にOPNおよびBSPの発現がみられた。培養歯根膜細胞の有無による発現の差は明確ではなかった。 矯正目的で便宜抜去されたヒト小臼歯から、歯根膜細胞を剥離、細断しマラッセ残存上皮細胞の選択的培養を現在行っている。
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