• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

歯周ポケット底部を再現した3次元立体培養系の応用による歯周炎の病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 10771218
研究機関徳島大学

研究代表者

湯本 浩通  徳島大学, 歯学部, 助手 (60284303)

キーワード歯周病 / 歯周病関連細菌 / 上皮細胞 / 血管内皮細胞 / 細胞内シグナル伝達 / サイトカイン / 接着分子 / 細胞増殖因子
研究概要

上皮細胞から上皮下の細胞への炎症波及機構を解明する事を目的に,上皮細胞内のシグナル伝達物質に着目し,歯周病患者より採取した歯肉組織片を用いて,主要な細胞内シグナル伝達物質であるphosphorylated Mitogen-Activated Protein kinase(MAPK)に対するモノクローナル抗体で免疫染色を行った。その結果,主に上皮細胞および血管内皮細胞に特異的にMAPKのリン酸化が認められた。そこでヒト口腔由来上皮細胞ならびにヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた培養系に歯周病関連細菌Eikenella corrodensの全菌体ならびに培養上清を添加・刺激して,上皮細胞および上皮下の細胞,特に血管内皮細胞に対する影響を調べた。上皮細胞にはMAPKの経時的なリン酸化(活性化)が認められ、さらに血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の産生増強がmRNAと分泌蛋白の両レベルで認められた。このVEGFのmRNA発現増強は、血管内皮細胞においても認められた。またE.corrodens培養上清で刺激すると、血管内皮細胞は細胞増殖促進効果を示した。血管内皮細胞に対しては、Inter Cellular Adhesion Molecule-1(ICAM-1),Vascular Cellular Adhesion Molecule-1(VCAM-1)のmRNA発現の増強も認められた。上皮細胞に認められたシグナル伝達物質(MAPKおよびp38)のリン酸化(活性化)を各特異的阻害剤(MEK-1 inhibitor,p38 inhibitor)で抑制すると、Interleukin-8およびICAM-1の発現が抑制された。また,Protein Kinase C阻害剤もICAM-1の発現誘導を抑制した。本研究により歯周病関連細菌で刺激された歯周ポケット上皮細胞から上皮下組織を構成する細胞への炎症波及は,上皮細胞内でシグナル伝達物質の活性化を介した様々な炎症性メディエーター・細胞増殖因子の産生が誘導され,上皮下の細胞に細胞増殖促進や接着分子の発現誘導が生じ,急性あるいは慢性的な炎症反応が増強される機構であることが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] HIROMICHI YUMOTO et al.: "Interleukin-6(IL-6)and IL-8 Are Induced in Human Oral Epithelial Cells in Response to Exposure to Periodontopathic Eikenella corrodens"INFECTION AND IMMUNITY. 67・1. 384-394 (1999)

  • [文献書誌] HIROMICHI YUMOTO et al.: "Characterization of the cytokine-induction factors released from Eikenella corrodens"JOURNAL OF DENTAL RESEARCH. 78・Special Issue. 260-260 (1999)

  • [文献書誌] 湯本 浩通 他: "Eikenella corrodens による上皮細胞のCOX-2発現誘導とPGE_2産生"日本歯周病学会会誌. 41・春季特別号. 130-130 (1999)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi