(1) LPSの精製〜A.actinomycetemcomitans Y4およびP.gingivalis 381の凍結乾燥菌体から、温phenolwater法にて粗LPSを抽出し、nuclease及びpronase処理後、精製LPSとした。 (2) 試料作製〜精製A.a LPSとP.g LPSをPBSに溶解し、それぞれ5μg/3μlをマイクロシリンジを用いてマウスの左側第一臼歯の近心頬側歯肉に隔日に注入した。実験群として1、3、5、7、10、15回注入群を作製し、対照群としてPBS群を作製した。各群の半数は、PLP固定EDTA脱灰後、AmeX法にてパラフィン包埋し、各LPSによる骨吸収の病理組織学的検索及びアポトーシス細胞と関連サイトカイン発現の免疫組織学的検索にもちいた。残りの半数はDNA断片化の解析とサイトカイン測定の試料として、左側第一臼歯の近心頬側部分の歯肉組織を採取し凍結保存した。 (3) 病理組織学的検索〜HE及びTrAP染色を行い、LPSによる炎症と骨吸収を比較検討した。対照群では投与回数に従い炎症細胞浸潤が観察されたが、歯槽骨吸収とTrAP陽性細胞は観察されなかった。A.a LPS群では、3〜5回以降炎症性細胞浸潤が広く観察された。破骨細胞は3〜5回以降に観察され、徐々に増加し10回以降プラトーであった。一方、P.g LPS群ではA.aに比べて炎症性細胞浸潤は軽度で、破骨細胞は10回までほとんど観察されず15回で増加した。またDNA断片化の解析、サイトカイン量の測定、アポトーシス細胞とサイトカイン発現についての免疫組織学的検索については実験条件等を検討中である。
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