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1998 年度 実績報告書

酸化活性種の新規反応特性評価法に基づく、高選択的な不活性分子活性化系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 10771238
研究機関東京大学

研究代表者

浦野 泰照  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (20292956)

キーワードシトクロムP450 / 軸配位子 / チオレート / O-脱アルキル化反応 / 同位体効果 / 水素原子引き抜き機構 / ipso置換反応 / 鉄ポルフィリン錯体
研究概要

筆者はこれまでに、p-ジメトキシベンゼ2のO-脱アルキル化反応機構などを指標に、チオレート配位鉄ポノヒフィリン錯体(SR)の反応特性をシトクロムP450や他の軸配位子を持つ鉄ポルフィリン錯体のそれと比較し、シトクロムP450におけるチオレート配位の意義を明らかにしてきた。本年度は、より電子密度の高いテトラメトキシベンゼンを基質として、その反応機構をモデル系、酵素系で精査した。分子内同位体効果(KIE)を明らかにするための基質である、1-(OCD_3)-2,4,5-trimethoxybenzeneは、2,4,5-trimethoxybenzaldehydeよりmCPBAを用いたBaeyer-Villeger酸化を含む2工程で合成した。この基質のO-脱メチル化反応におけるKIEは、シトクロムP450系では7.6であり、ジメトキシベンゼンの時と同じく反応は主に水素原子引き抜き機構で進行することが明らかとなった。これに対して、シトクロムP450と同様にチオレート軸配位子を持つSRではKIEは1.3と小さく、反応は主にipso置換機構で進行することが明らかとなった。これまで用いてきたジメトキシベンゼンなどの基質では、SRとシトクロムP450は常に同じ反応機構で反応が進行したが、これは用いた基質の芳香環電子密度が反応特性の差を見るには十分高くはなかったためと考えられる。すなわち今回テトラメトキシベンゼンを用いてはじめて、SRとシトクロムP450の反応特性の質的に異なる面が明らかとなり、SR酸化活性種はP450活性種に比べ水素原子引き抜き力が弱いことが見出された。本結果は、テトラメトキシベンゼンを基質とすることで、触媒の構造と反応特性の相関をさらに詳細に検討することが可能となる事を示している。今後水素結合を分子内に有するSR類縁体などを用い、よりファインな触媒構造の反応特性に及ぼす効果を明らかにしていきたいと考えている。

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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