研究概要 |
トウトマイシンの5位から16位に相当するスピロケタール骨格を有するジオール化合物の合成をおこなった。この化合物は合計6個の不斉炭素を有するが、これらに関しても立体選択的に構築した。連続した3個の不斉中心を有するメソジオール(syn,syn-3-benzyloxy-2,4-dimethyl-1,5-pentadiol)の酵素アセチル化反応をおこない、光学活性なモノアセテート化合物を高光学純度で得た。これから数工程の官能基変換をおこなって2,4-dimethyl-1,3-isopropylidenedioxy-5-phenylsulfonylpentaneを合成した。さらにallyl bromideと塩基条件下で反応させた後、ナトリウムアマルガムによる脱硫をおこない、5,7-dimethyl-6,8-isopropylidenedioxy-1-octeneに導いた。次にエポキシ化の後、(+)-リンゴ酸から合成したスルホン体(1,2-isopropylidenedioxy-3-methyl-4-phenylsulfonylbutane)とのカップリングをおこなった。最後に脱硫、2級水酸基の酸化をおこなった後、得られたジケタール体をカンファースルホン酸で処理したところ目的とするスピロケタールジオールを合成することができた。5,7-dimethyl-6,8-isopropylidenedioxy-1-octeneに関しては、現在シャープレスのエポキシ化とパラジウム錯体を利用したギ酸還元を鍵工程とする別合成法も検討している。
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