研究概要 |
酵素によるアミンの不斉アシル化は、ラセミ体又はアキラルな化合物を光学活性体にする目的でしばしば用いられる。しかしながら、非酵素的手法による不斉アシル化は、ジアステレオ選択的反応のみで、エナンチオ選択的反応は全く報告されていない。 我々は、既にortho-trifluoromethyl-N,N-diacetylanilineがアミンの化学選択的アセチル化剤として有効であることを報告した(Murakami,Y.;Kondo,K.;Miki,K.;Akiyama,Y.;Watanabe,T.;Yokoyama,Y.Tetrahedron Lett.1997,38,3751-3754.)。我々は上記diacetylaniline誘導体を光学活性体として合成できれば、それがエナンチオ選択的アシル化剤として用いることができるかもしれないと考えた。 種々合成検討を行った結果、不斉アシル化剤となりうる光学活性diacetylaniline誘導体の合成に成功した。 実際、化学量論量の上記光学活性diacetylanilineを用いて、2級アルキルアミンのエナンチオ選択的不斉アセチル化を検討したところ、最高48%eeでアセチル化された2級アルキルアミンを得た。本例はアミンのエナンチオ選択的不斉アセチル化の最初の例である。
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