研究概要 |
光学活性α-一置換環状ケトン類を調整する方法として,不斉な結晶場での包接錯体化と,液相におけるラセミ化の平衡を利用したデラセミ化法の開発を目的として,研究に着手した.本.年度の成果は以下のとおりである. 1. 十数種の光学活性ホスト分子を調整した. 2. ホスト-ゲストの組み合わせ実験を行い,20個の組み合わせで不斉分子認識が起こることを見いだした. 3. これらの組み合わせに対してデラセミ化法を適用した.2-ベンジルシクロヘキサノンでは光学純度74%eeのR体が得られた.同様に,2-(2-メトキシエチル)シクロヘキサノン,2-アリルシクロヘキサノンもそれぞれ光学活性体に変化した(94%ee,76%ee). 4. 結晶状態での認識の様子を解明する目的で,ホスト-ゲスト包接錯体のX線結晶解析を行った.その結果,分子内・分子間水素結合,van der Waals力等の弱い力の総合によりホスト4分子がゲストを取り囲んでいることが明らかになった.
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