平成11年度は計画書とおりに次の2項目について研究を行なった。 (1) Intactな免疫細胞におけるCaストアと細胞質Caの同時測定。 RBL(rat basophil leukemia)細胞のCaストアのCa濃度をMag-Fura2/AMを導入することによって、また、細胞質のCa濃度を測定Fluo-3を導入することで別々に同時測定することを試みた。ストアと細胞質それぞれに色素を導入することに成功した。しかしながら、AM体で導入したMag-Fura2が多く細胞質に残存し、これの影響がおおきいために、同時測定に至っていない。細胞質に残存するMag-Fura2を除くために、肥満細胞で細胞膜に一過性に小さな穴をあけるATPや脂質を用いた一過性膜透過性上昇により行ったが、同時測定可能なレベルにまで除けていない。今後は、さらに別の方法での洗浄方法を試みるとともに、残存Mag-Fura2の影響を細胞質のCa濃度(Fluo-3)を用いて補〓する方法も検討する。 (2) RBL細胞の形質膜Caチャネルの機能欠損ミュータントの探索。 RBL(rat basophil leukemia)細胞をEMS(ethyl methanesulfonate)によって突然変異をおこさせ、形質膜のCaの欠損ミュータントをスクリーニングすることを試みた。スクリーニングはRBL細胞の分泌顆粒をquinacrineで蛍光ラベルしておき、刺激による脱顆粒に伴う蛍光消失を指標にフローサイトメーターで行なった。しかしながら、抗原刺激では脱顆粒が充分でないために、脱顆粒したものとしなかったものとの差がほとんどなく、スクリーニングできなかった。今後は、直接Ca濃度を測定してスクリーニングする方法を検討するとともに、RT-PCR法を用いたCaチャネルの探索を行なう予定である。
|