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1999 年度 実績報告書

中枢神経細胞死における内因性活性酸素産生物質の役割

研究課題

研究課題/領域番号 10771282
研究機関京都大学

研究代表者

香月 博志  京都大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (40240733)

キーワード内因性神経毒 / 3-ヒドロキシキヌレニン / キサンチン酸化酵素 / 過酸化水素 / 興奮毒性 / ドパミンニューロン
研究概要

中枢神経変性疾患において特定の脳部位の神経細胞が変性・脱落を起こす原因の一つとして、内因性の神経毒性物質が脳内に高レベルで蓄積することが引き金となるケースが考えられる。申請者はトリプトファンの代謝過程で生成する3-ヒドロキシキヌレニン(3-HK)が培養線条体神経細胞に対して非常に低濃度で神経毒性を発揮することを報告した。本年度は3-HKの毒性発現におけるキサンチン酸化酵素の関与、および3-HKのNーmethyl-D-aspartate(NMDA)興奮毒性に対する影響について検討を行った。
1.キサンチン酸化酵素の活性化を抑制するアプロチニン(セリンプロテアーゼ阻害薬)の作用について検討したところ、アプロチニンの同時適用によって培養線条体神経細胞に対する3-HKの毒性は顕著に抑制された。また無細胞系の溶液状態において3-HKが自動酸化によって過酸化水素を発生することを見い出した。この過酸化水素の発生速度は、キサンチン酸化酵素およびスーパーオキシドジスムターゼの添加によって増大したことから、細胞内においてはこれらの酵素が3-HKの自動酸化促進および毒性の発現に関与することが示唆された。2.切片培養を用いて中脳黒質ドパミンニューロンの生存に対する3-HKの影響を調べたところ、3-HK(3-10μM)はそれ自身ではドパミンニューロンに対して顕著な毒性を示さなかったが、NMDAと共添加すると興奮性神経毒性を増強する傾向が認められた。以上の結果は、3-HKが中枢神経変性疾患における病態形成に関与する可能性を支持し、また3-HKの毒性発現メカニズムの一端を明らかにした点で有意義な知見である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Shimazu,S.et al.: "Deprenyl rescues dopaminergic neurons in organotypic slice cultures of neonatal rat mesencephalon from N-methyl-D-aspartate toxicity"Eur.J.Pharmacol.. 337・1. 29-34 (1999)

  • [文献書誌] Ibi,M.et al.: "Depletion of intracellular glutathione increases suceptibility to nitric oxide in mesencephalic dopamine neurons"J.Neurochem.. 73・4. 1696-1703 (1999)

  • [文献書誌] Akaike A.et al.: "Reactive oxygen species in NMDA receptor-mediated glutamate neurotoxicity"Parkinsonism&Related Disorders. 5・4. 203-207 (1999)

  • [文献書誌] 香月博志 他: "リガンド受容体チャネル"現代医療31巻4号・イオンチャネルと疾患、現代医療社. 7 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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