研究概要 |
リソソーム膜蛋白質(LGP85)の輸送シグナルである細胞質領域に結合する細胞質因子の精製を行ったところ、β-tubulinとHSP90のcomplexが同定されてきた。さらに分離してきたオートリソソームと微小管を、試験管内で混ぜ合わせ蛍光顕微鏡で観察を行うと両者が非常に近接して存在していることが明かとなった。しかしながら精製した微小管とLGP85細胞質領域の相互作用を、affinitybeadsあるいは表面プラズモン共鳴センサーなどを用いて検討を行ったところ特異的な相互作用を示すことはできなかった。 次にリソソーム膜蛋白質(LGP85,LAP)の輸送シグナルである細胞質領域とアダプター蛋白質(AP-1,AP-2)との相互作用の検討を、affinity beadsあるいは表面プラズモン共鳴センサーなどを用いて行ったところ、それぞれに特異的な相互作用(LGP85とAP-1、LAPとAP-2)が認められた。LGP85とAP-1の相互作用は輸送シグナルであるロイシン-イソロイシンという配列に依存的であり、この相互作用がリソソーム膜蛋白質(LGP85)の輸送に重要であることが示唆された。さらにLGP85の細胞質領域の合成ペプチドの高次構造の解析(NMR、CDスペクトル)を行ったところ、やはりロイシン-イソロイシン依存的に異なる立体構造を取り得る可能性が示唆され、リソソーム膜蛋白質の輸送シグナルはその高次構造により機能発現が規定されていることが予想された。
|