抗Fas抗体処理あるいはTNFおよびシクロへキシミド(TNF/CHX)処理によりアポトーシスを誘導したヒト単核球系白血病細胞株のU937細胞を用いて以下に示すことを明らかにした。 1: あらかじめ放射標識オレイン酸あるいはパルミチン酸標識した細胞に抗Fas抗体処理でアポトーシスを誘導した結果、放射標識アラキドン酸標識した細胞と同様に脂肪酸遊離量の増加が観察された。この脂肪酸遊離量の増加は、カルシウム非依存性ホスホリパーゼA_2(iPLA_2)の阻害剤であるmethyl arachidonylfluorophosphonate(MAFP)及びbromoenol lactoneにより阻害された。これらのことより、脂肪酸遊離へのiPLA_2の関与が強く示唆された。 2: あらかじめ放射標識アラキドン酸で標識した細胞をTNF/CHX処理によりアポトーシスを誘導すると、主にトリアシルグリセロール量の増加が観察された。この増加は予想外にもMAFPにより抑制されたが、その阻害様式については現在のところ不明である。また、わずかながら観察された遊離脂肪酸量の増加もMAFPで抑制され、TNF/CHX処理細胞においても脂肪酸遊離の増加にiPLA_2が関与することが示唆された。 3: 両系において、アポトーシス誘導時にMAFPを共存させると、アポトーシス初期段階(6時間まで)での細胞死が遅れた。しかし、caspase-3活性やDNAの断片化は影響を受けなかった。
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