研究概要 |
受容体の細胞内局在、およびその制御機構を解析するために、α1A,α1Bナドレナリン受容体をモデルとし、定量的実験が可能なフローサイトメトリーと、画像として可視化が可能なレーザー共焦点顕微鏡を組み合わせ解析を行ってきた。前年度は、受容体の蛍光標識にはエピトープタグ、GFP(Green Fluorescent protein)を融合した受容体コンストラクトを作製し、細胞内局在、輸送機構の直接的な可視化および、Real-timeでの観察を可能にした(Awaji et al,Mol Endcrino 1998)。さらに、受容体蛋白質を誘導発現できる培養細胞系を作製し、これを用いて局在、輸送機構に関する薬理学的な解析を行った(Hirasawa et al.Brit J Pharmacol 1998)。また、局在の制御に関与すると考えられる蛋白質の検索のため、yeast two-hybrid法を用いα1Bアドレナリン受容体に結合する蛋白質としてgClqBPの単離に成功した。 本年度は、この蛋白質とα1Bアドレナリン受容体との相互作用について、より詳細に解析した。gClqBPのcDNAとα1Bアドレナリン受容体cDNAとをco-transfectすると、同一の細胞内局在を示すこと、その培養細胞を可溶化後抗α1Bアドレナリン受容体抗体で免疫沈降を行うとgClqBPが共沈することなどから、発現した細胞内でも相互作用のあることが分かった。さらに、上記蛍光検出系を組み合わせることで、gClqBPが実際にα1Bアドレナリン受容体の発現量を抑制することを明らかにした。また、相互作用するα1Bアドレナリン受容体側の部位をyeast two-hybrid法と顕微鏡での解析を組み合わせて検索したところ、C末端側のArgがクラスターを作った領域を含むことが分かった。 以上、受容体の発現を蛋白レベルでの制御する可能性のある新規の因子を同定し、また相互作用部位についても新規のモチーフを見いだすことができた(Zjxu et al J Biol Chem 1999)。
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