抗生理活性物資抗体(抗グリチルレチン酸抗体、抗シガトキシン抗体)産生ハイブリドーマ細胞から抗体遺伝子をPCR法を用いてクローニングし、反応特異性に密接な可変部領域の塩基配列を決定し、それらの予測アミノ酸配列について遺伝子バンクに登録されている抗体と相同性について解析した。CDR1およびCDR2領域に関して、それぞれ高い相同性が認められたが、CDR3領域の配列に関して相同性の高い配列は認められなかった。これより、CDR3領域が特に抗体と抗原との反応特異性に寄与していることが示唆された。 すなわち抗シガトキシン抗体に関して、シガトキシン1B(CTX1B)のABC環部を有機化学的に合成し、KLHとのコンジュゲートとして免疫、マウスモノクローナルを得た。反応特性性に関する検討から、CTX1Bの2位水酸基の立体が2R体と反応する6H7抗体と天然型2S体と反応する6F12抗体及び4H2抗体が得られていた。遺伝子解析から得られた各抗体の予測アミノ酸配列の比較により、6F12と4H2の重鎖領域配列の相同性が高く、可変領域内125アミノ酸残基中115残基(92%)が一致した。そこで、現在pComb3をベクターとしてCDR3領域をランダム化したファージディスプレイFab抗体ライブラリーを作製し、2S-ABC環ー牛血清アルブミン(BSA)コンジュゲートを用いてパンニングを行い、得られたファージクローンの解析を継続している。 今後は、CDR1及びCDR2をランダム化した抗体ライブラリーを作製し、ハイブリドーマ法を代替するモノクローナル抗体作製法開発に応用する。
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