我々は新機能RNAアロステリックリボザイムの合理的分子設計として、ハンマーヘッド型リボザイムのステムループII部分にフラビン結合部位を導入し、フラビン分子(FMN)によるリボザイム活性の発現制御に成功した。この新規アロステリックリボザイムは、フラビン分子が特異的に結合するループ部分とハンマーヘッド型リボザイムの活性部位との間に5'-UGC/5'-GCUの3塩基対を有する構造をしており、Single turnover条件下において、フラビン分子結合により活性が6倍上昇する新規核酸酵素であった。申請者は、この活性の誘導がフラビン分子結合部位とリボザイム活性部位とを結ぶ3塩基対の安定性によるものと考え、DMS-化学修飾法を用いて検討を行った。その結果、FMN存在下では3塩基部分の塩基対形成が認められ、非存在下では塩基対の形成が弱いことが確認された。さらに、高分解能2次元NMR法を用いて、このアロステリックリボザイムのイミノプロトン領域の測定を行ったところ、フラビン分子の非存在下において、この3塩基対のイミノプロトンはブロードであり、非常に不安定であることが示唆された。現在は、フラビン分子存在下におけるアロステリックリボザイムの3塩基対の安定性をNMR法にて測定中である。したがってこのフラビンスイッチ型リボザイムは、フラビン分子の結合によりステムII部分の塩基対形成が誘導され、この構造変化が活性発現につながったものと考えられる。
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