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1998 年度 実績報告書

エンドトキシンによる薬物胆汁中排泄能の低下の機序と生体防御反応の関与

研究課題

研究課題/領域番号 10771341
研究機関岐阜薬科大学

研究代表者

灘井 雅行  岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (00295544)

キーワードエンドトキシン / セフォペラゾン / 胆汁中排泄 / 腫瘍壊死因子 / 顆粒球コロニー刺激因子 / デキサメタゾン / 免疫・炎症反応 / 白血球
研究概要

エンドトキシン(LPS)が誘発する薬物胆汁中排泄能の低下の機序を明らかにするため、アニオン輸送系を介して胆汁中に排泄されるβ-ラクタム系抗生物質セフォペラゾン(CPZ)の体内動態ならびに胆汁中排泄機能の変化とこれに対する炎症反応、免疫応答などの生体防御反応の関与について検討し、以下の知見を得た。
1) 薬物の肝胆管系移行動態に及ぼすエンドトキシンの影響の時間推移
エンドトキシンよって生じる薬物胆汁中排泄の低下の時間推移を薬物速度論的に検討した。CPZの胆汁中排泄クリアランスはLPS1mg/kg投与後30分以内に著しく低下し、その後120分まで持続した。したがって、CPZの胆汁中排泄クリアランスの低下にはLPSによって生じる何らかの急性反応が関与することが示唆された。
2) 薬物胆汁中排泄機構に対するエンドトキシンの作用と腫瘍壊死囚子(TNF)の関与ならびに白血球の役割
LPSが誘導するTNFの産生を抑制することが報告されている顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を前投与したラットにおいて、LPSによるCPZ胆汁中排泄能の低下が増強された。この結果から、LPSによるCPZの胆汁中排泄能の低下に対してTNFの関与が小さいこと、また、G-CSFによって増加した白血球もしくはこれから放出されるTNF以外のメディエーターが大きく関与することが示唆された。
3) エンドトキシンの薬物胆汁中排泄低下作用に対する免疫・炎症反応の関与
免疫抑制作用、抗炎症作用を有する副腎皮質ステロイド薬デキサメタゾンの前投与により、LPSが誘発するCPZの胆汁中排泄率とそのクリアランスの低下が顕著に抑制された。したがって、LPSによる薬物胆汁中排泄低下には免疫反応、炎症反応が関与するとともにLPSが肝細胞に直接障害を与え、薬物の胆汁中排泄を低下させるものではないことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Nadai,M.et al.: "Time-dependent effects of Klebsiella pneunoniae endotoxin on hepatic drug metabolizing enzyme activity in rats." J.Pharm.Pharmacol.50. 871-879 (1998)

  • [文献書誌] Nadai,M.et al.: "Granulocyte colony-stimulating factor enhances endotoxin-induced decrease in biliary excretion of the antibiotic cefoperazone in rats." Antimicrob.Agents Chemother.42. 2178-2183 (1998)

  • [文献書誌] Horii,T.et al.: "Carbapenem-induced endotoxin release in gram-negative bacterial sepsis rat models." FEMS Immunol.Med.Microbiol.21. 297-302 (1998)

  • [文献書誌] Kojima,S.et al.: "Possible mechanism by which the carbapenem antibiotic panipenem decreases the concentration of valproic acid in plasma in rats." Antimicrob.Agents Chemother.42. 3136-3140 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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