研究概要 |
平成10年度は、婦長自身と看護婦のリーダーシップ行動への認知から、婦長の変革的リーダーシップ行動の特性を明らかにするために以下の調査を行った。研究対象:看護単位の管理・監督の責任を持つ婦長21名。研究に参加した婦長が管理に就いている施設の看護婦407名。 研究方法: 調査1.大学付属病院と法人病院の婦長21名について、研究者自身が非構成的面接法を用いて調査を行った。各婦長には「今までリーダーシップを発揮して、もっとも成果を上げた体験をお聞かせください。」という質問を行い、婦長自身の視点から効果的なリーダーシップ行動とその成果をどのように認知しているかを追究した。 調査2、看護婦に「看護単位のリーダーに重要な特性」についての質問紙調査を実施した。質問項目は文献レビューより抽出した「望ましいリーダーを形容する言葉」の選択または自由記述である。 結果: 調査1,については、質的データーのコーディングを終えた段階である。婦長のリーダーシップ行動に共通するテーマとして「看護の必要度・看護力を評価する」 「スタッフを変化へ動機付ける」 「組織と個々のスタッフの目標の明確化を助ける」 「スタッフの行うケアの意味づけ」 「スタッフへの適切なフィードバック」特定しカテゴリー化した。しかし、婦長のリーダーシップ行動とその成果は、病院・看護部の理念や方針、各看護単位に課せられた使命、看護単位を構成するスタッフの臨床実践体験等により多様性を示した。このため、次年度は異なる特性を持つ施設でさらに対象者を増やし、上記のカテゴリーを見直したうえで看護管理学研究者の協力を求め、妥当性を追究する予定である。 調査2、では、407名の看護婦のうち、リーダーに望まれる特性として「決断力」86.98%と「気配り」77.4%について高い認知を示していた。
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