文献調査、調整打ち合わせの後、兵庫県内の1老人病院の協力を得て調査を行った。 入院中の65歳以上の寝たきり高齢者で、Braden Scale14点以下の褥瘡患者17名(褥瘡群;平均年齢79.9±10.2歳)、および同Scaleで14点以下の褥瘡が発生していなかった寝たきり患者17名(対照群;平均年齢80.8±5.3歳)を対象に、栄養評価、看護介入内容を中心とする調査を行った。 対象者の主な疾患は脳血管疾患であった。褥瘡群は対照群に比べ、体重(kg)あたりの摂取エネルギー量と体重(kg)あたり摂取タンパク質量で有意に高かった(p<0.05)。しかし、血清中のアルブミン量には差がなく、経腸栄養法の対象者では、褥瘡群は対照群より有意に低い値であった(p<0.05)。また、鉄の摂取量は褥瘡群と対照群では差がなかったが、赤血球数は褥瘡群が有意に低く(p<0.05)、女性と経腸栄養法の対象者では褥瘡群が低く有意差を認めた(p<0.05)。 対象者のうち、経腸栄養法による患者(褥瘡群7名、対照群7名)では、亜鉛の摂取量は平均約1m81日で差がなかったが、血清亜鉛値は対照群80.7±19.9μg/dlに対し、褥瘡詳60.4±10.3μg/dlと低く、有意差を認めた(p<0.05)。褥瘡患者のタンパク質、鉄、亜鉛など創傷治癒に関連する栄養素の吸収率低下、または褥瘡部での代謝亢進による損失が示唆され、これらの栄養素の摂取を促進するケアの必要性が考えられる。平成11年度は、さらに看護介入の分析結果と総合し、看護介入基準の検討を行う予定である。
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