昨年度は、年齢が65歳以上、Braden Scale14点以下であることを条件に、褥瘡をもつ患者17名および褥瘡が発生していない患者17名を対象に調査を行い、褥瘡の患者ではたんばく質、鉄の摂取量が対照患者より高く、有意差を認めたにもかかわらず、たんぱく質、鉄、亜鉛などの栄養素の指標が対照群よりも低いことが明らかになった。 今年度はその結果について、微量栄養素研究会など、いくつかの学会に成果発表を行い、看護/栄養学上の情報交換を行い、雑誌に成果を発表した。 経口摂取の患者については、食事摂取時の具体的状況と看護介入方法と栄養摂取量を解析し、栄養所要量の第6次改定をうけて、栄養摂取量、栄養指標と看護介入との関りについて、分析を進めている。 経腸栄養法での対象患者では、亜鉛成分量の低い経腸栄養剤を摂取していたことが前年度の調査で明らかになり、すべての患者で亜鉛含有量の高い経腸栄養剤に変更された。このことから、追加データを含めて、褥瘡の発生状態、創傷治癒過程への影響について分析を進めている。また、褥瘡創部の皮膚血流量については、褥瘡の創部の栄養状態と関連していることが示唆される結果を得ており、現在、患者の栄養分析結果とあわせて、来年度に成果発表を行う予定である。
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