平成10年度は、実験室においてフットケアの効果を測定する基礎実験を行った。実験室環境の条件設定は、フットケアを病室で行うイブニングケアの一つとして考え、本研究に先立ち調査を行った府立系2病院の夜間の温湿度の結果に基づいて選定した。 まず、フットケア方法の検討を行った結果、本研究におけるフットケアは以下のとおりとした。15リットル用ポリバケツに、40℃、10リットルのお湯を入れ、端坐位で7分間の足浴を行い、足浴後バスタオルで水分を充分に拭いた。その後、仰臥位で左足から(1)足底中央部の指圧、(2)足祉の指圧および揉捏、(3)足鉦の付け根から踵部までの足底の指圧および揉捏、(4)足底全体の軽擦の手順でマッサージを5分間かけて行い、右足にも同様の手順で行った。 次に、健康な20歳代の成人女性12名を対象にして、このフットケア方法を用いて、フットケアの生理的効果の検討を行った。フットケアによって、血庄に大きな変動はなく、心拍数が減少し安定しており、血液循環動態での負荷はないと考えられた。また、下肢の深部皮膚温が有意に上昇し、ケア後2時間経過しても維持されていた。睡眠については、被験者の申告と研究者の観察からであるが、全員が入眠していた。 さらに、年齢階級別入院構成割合が多い70歳代の健康な高齢者10名(男女各5名)を対象にフットケアを実施した結果、成人女性を対象にしたフットケアの生理的効果と同様の結果が得られた。ただし、高齢者群と比較して、成人女性群の方が、心拍数の減少、安定化が著明で、副文感神経作用がより優位になっていた。 来年度は、フットケアの睡眠に対する効果を脳波の測定等で客観的な評価を行い、病院環境における不眠患者の入眠を促進するフットケアの検討を行う。
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