1997年4月に新設された東京都M保健所管内にある5000世帯の集合住宅を抱える地域をモデル地区とし、この地域の住民のニーズ(住民が意識している生活や健康上の問題、保健サービスへのニーズと満足度等)や集合住宅特有の問題、援助者側の問題意識等の実態について明らかにすることを目的とした。保健所と研究者が前年度に実施した関係機関(医療、保健、福祉、警察、学校等)職員へのインタビュー調査結果や保健所と自治会が協働で実施している健康と生活を考える学習会に参画し実施に携わりながら把握された情報を基に今年度は民生委員、自治会役員、各々のグループを対象にしてグループインタビュー調査を実施した。調査内容は、地域に対する現在のイメージと理想とする地域のイメージ、自分や家族、隣人についての生活や健康上の心配・不安、隣人等との人間関係、居住してよかった点及び問題点、問題を解決するための条件、これまで利用したサービス資源や利用したいと思うサービス、支援体制等について参加者の発言から情報収集を行った。また、保健所職員の地域についての問題意識や活動上の課題、体制づくり等についてグループインタビュー調査を行った。これらの結果を既存の資料や情報と合わせて総合的に分析を行い地域の状況を明らかにし、更に、得られた情報を基に住民の健康問題等への具体的な活動指針・活動計画、実践、活動体制(公的・民間施設の情報のネットワークや連携等)、活動の効果・効率性を考慮した地域保健活動の具体的な方向性の検討を保健所職員や住民の協力を得ながら行う予定である。
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