本研究の目的は、様々な施設・病院・家庭間のリロケーションに伴う、高齢者の自己決定プロセスを、入所時あるいは退院時の面接調査により、プロスペクティブに明らかにしていくことである。本研究におけるリロケーションは、老人保健施設、特別養護老人ホームの入所・退所時と、老人病院、一般病院の退院時とした。 本年度は、老人保健施設と特別養護老人ホームの入所時および退所時の自己決定プロセスを明らかにするための面接調査とデータ整理を行う予定であったが、まず老人保健施設と一般病院において面接調査を行った。 老人保健施設では、入所した老人から安定した回答が得られるかどうか施設婦長とともに判断した後、ご本人から研究の同意を得、面接調査を行った。入所は、再入所は除き新入所のみとした。また退所日が決定あるいは予定された老人についても同様に、調査を行った。 一般病院では、整形外科病棟と在宅支援病棟に入院中で、退院が予定された老人について、老人保健施設と同様に面接調査を行った。それらの病棟を選んだ理由は、整形外科病棟では、大腿骨頚部骨折等により移動動作に障害が残り、家庭への退院がスムーズにされにくい状況もあると考えられること、在宅支援病棟では、在宅を目標にケアを行っているが、在宅で介護を行う条件が整わず、他施設へ移転する老人があることから、本研究において有効なデータを得られると考えたためである。 データ整理は、それぞれ、研究補助者によりカセットテープから逐語録におこしている段階である。 今後は、特別養護老人ホームや老人病院においても同様に面接調査を行い、先行研究で得られた自己決定プロセスをもとに比較検討していく予定である。
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