研究概要 |
最近になって,個人ではなく家族全体を研究対象としてとらえる傾向が強まってきたが,我が国において家族機能を測定する適切な尺度は未だ確立されておらず,家族看護学研究において大きな障害となっている.したがって,小児科病棟における家族の付き添いが家族構成員に及ぼす影響については検討されているが,家族機能の変化についてはこれまでなされていない. そこで,我が国で使用できる家族機能検査を開発するために,アメリカ合衆国で提唱されたFFFS(Feetham Family Functioning Survey)を翻訳して,日本語版を作成した.このFFFSは,夫と過ごす時間,家事に使う時間,性生活の満足度などの27項目から成る家族機能検査である.サブスケールのもつ意味が原版と近くなるように,文化の価値基準を考慮しながら翻訳を行った.さらに,予備調査を実施して,その妥当性および信頼性を統計的に処理した後,いくつかの修正を加えて,FFFS日本語版を完成させた. 引き続き来年度は,総合病院などに入院中の患児の母親400名程度を対象として,このFFFS日本語版を使った郵送調査や面接調査などを実施する計画である.そして,患児の入院に付き添う母親の生活の実態,家族機能におよぼす影響を把握し,看護側から母親への援助,母親の疲労の軽減に資することを目的とする.患児,母親,留守家族の状態を含めて,総合的に母親が付き添うことの適否を決定する判断材料とする.
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