本研究は、(1)神経内科病棟退院患者とその家族の退院直前の状況(日常生活上の問題、家族状況、医療処置)・(2)看護婦によって予測された退院後の問題点・(3)看護婦による退院指導内容・(4)退院後の患者及び家族の生活(生活上の困難・退院指導活用状況・地域サービス利用状況)を把握することを目的としており、現在2ヶ年の計画の1年目が終了するところである。1年目はマクロな患者と家族像、看護職による患者・家族の困難の推測と退院時指導内容を把握する目的でT大学病院において質問紙調査を実施した。すなわち、T大学病院神経内科から退院患者が発生する毎に、看護職に退院後の生活上の困難や退院指導の内容を尋ねた。また、退院1ヶ月後に患者とその家族員1名に調査票を送付して、経験している困難や退院時指導の記憶を尋ねた。現在、この量的調査のデータ収集を終了し、データ入力中である。 調査期間の1997年11月20日から1998年12月25日に、T大学病院神経内科を退院した患者のうち、2泊以上入院した者の総数は186名、うち調査実施日に再入院中の3名、調査拒否者6名を除いた177名は、男性90名、女性87名であり、入力を終了した173名の平均年齢は53.5(±17.3)才である。173名中、排泄に援助を要する者21.2%、移動に援助を要する者35.1%であった。これらのうち、自宅退院した患者は143名、そのうち112名の患者と110名の家族から調査票の回答を得た。今後、(1)神経内科病棟退院患者及びその家族の退院後の困難とその要因、(2)看護職の予測した困難と患者及び家族の経験する困難との一致度、(3)予測と実際の一致する困難と一致しない困難の比較、(4)予測と実測の一致に関連する要因、の4つの軸に沿って分析を行なう。
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