研究概要 |
障害児の幼児期における日常生活行動の自立、家族が行う健康管理、母親のストレスの特徴を明らかにし、日常生活行動の自立と健康管理の関係、日常生活行動の自立と母親のストレスの関係を明らかにすることを目的に調査を行った。障害をもつ先天性疾患患児の母親に対して、自作の質問紙を用いて(1)小児の日常生活行動、(2)家族が行う健康管理、(3)家族背景について調査した。また、母親のストレスは、日本語版Parenting Stress Index(Abidin,1983)を用いて把握した。外来受診時、母親に対して研究の主旨を説明し、参加の同意が得られた場合に回答を依頼した。 二分脊椎症、鎖肛の小児の母親53名から回答が得られ、以下の結果が見出された。小児の日常生活行動には遅れが認められ、特に、おむつの離脱や移動などの障害に関連する日常生活行動の遅れは顕著であった。46.8%の家族は、導尿などの特殊な技術を要する健康管理を毎日行い、約半数は排便管理、薬の内服などの世話を行っていた。母親が食事や排泄の一般的な健康管理を心がけている場合は、小児の規則的な排便習慣が確立されやすかった。また、排泄の自立に遅れが認められる小児の母親は、ストレスがより高いことが明らかになった。この他に、小児の発育や就園の問題、受診する診療科数が多いこと、母親が一人で導尿を行っていることは、母親のストレス要因となっていた。今後はさらに対象数を増やし、因子間の関連性をより明らかにすること、継続的な援助を実施した事例を対象に縦断的調査を実施することを予定している。
|