老人看護学領域における、専門看護師のあり方について検討する研究である。米国における在外研究の結果、急性期病棟とLong term careにおける老年専門看護師の活動の実際を取材することができた。すでに多くの専門看護師が活動している米国では、身体的な専門ベースに基づいて、褥瘡・術後の回復等に携わる活動と、精神面の専門知識をもってせん妄から、在宅ケアに向けて家族や医療チームの様々な調整まで、各々の持つ専門性によって機能分化しつつあった。他方、専門看護師が共通に持つべきとされる、卓越した実践、コンサルテーション機能、教育、研究などの機能についても、その実際にふれることができた。わが国に共通して興味深かった活動としては、老人施設の場合、スタッフは看護の有資格者だけでなく、看護助手と協同した日常ケアが行われる。この場合、いかにケアの質を保つかという点に置いて、専門看護師がリーダーシップを発揮し、ケアチームの教育に携わると同時に、看護管理者にサゼッションを行っていた。 この体験をふまえ、わが国における老人専門看護師の活動試案づくりを進めているが、その一助とするために、一般病院並びに老人保健施設・療養型病床群において現在老人看護緒を実践している看護職に対して、専門看護師に対するニーズ調査を実施しているところである(対象18施設、409名)。老人の身の回りのケアに関する項目を中心に、日頃「うまく対応できる」から、「対応には困ることがある」の4段階から選択して貰う調査であり、一般病棟におけるニーズ、老人専門病棟のニーズがそれぞれに多少異なることを予測している。
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