本年度は、慢性疾患を持つ人たちの症状マネージメントを看護者としていかに支えていくかを検討する資料を得るために、文献整理と慢性疾患に罹患している患者への面接を行った。そして、慢性疾患患者が病気をもった生活の中でどの様な体験をしているのか、また、どの様な工夫を行っているかについての分析を行った。 慢性疾患患者(気管支喘息、閉塞性肺疾患、狭心症、慢性腎不全)27名との面接の結果、以下のようなことが明らかになった。 <患者の体験> *自己の身体の状態を捉える手がかりがないための不安定さの体験 病気やおかれている状態の全体像がつかめない、手探りの状態 *身体のサインや知識からの身体の状態のイメージ化 *病気に向き合う気持ちの揺らぎ 自分で対処できることが見えないための無力感 *病気と折り合いをつけた生活の困難さ <体験からの学び> *病気と共に生きるための方略の学び *症状に備える方略の学び *症状への警戒 *症状を捉えるための手がかりの獲得と拡大の方法 今後は、看護者を対象に面接を実施し、看護者の実践を明らかにする。そして、患者・看護者への面接調査の結果をもとに質問紙を作成し、慢性疾患患者への看護を行っている看護者を対象にアンケート調査を実施する。実態調査をふまえて、慢性疾患患者の症状マネージメントを支える看護介入のあり方について、現状の課題と看護の方向性を見出していく。
|