本年度は、患者主体の症状マネジメントを支える看護介入とはどの様なものかを明らかにすることを目的として取り組んだ。文献の整理及び経験の豊かな看護者からの助言を得て、患者自身の症状マネジメントを支える上で必要な援助技術や看護者の姿勢を整理した。その結果、慢性疾患患者の症状マネジメントを支える上での重要な看護者の姿勢として*病気・症状をもって生きる姿勢を育む、*その人自身の自己決定を支える、*病気・症状の悪化・進行を防ぐ、*病気・症状に関する管理の力を高める、*家族の力を強化する、が見出された。また、慢性疾患患者の症状マネジメントを支える看護援助の在り方として、*患者自身が症状を読みとるための手がかりを得るような支援、*患者自身が症状を読みとり、判断するための視点を得るような支援、*症状への対処能力を高めるような支援、*症状体験からの学びを活かすことができるような支援が見出された。また、これらの項目を活用した看護者への聞き取り調査では、病気・症状の進行を防ぐことや自己管理の力を高めることへの意識は高いが、その人自身の決定を支えていくことや家族の力を高めることへの意識は低い傾向が見られた。看護援助においては、患者自身の症状への対処能力を高めるような関わりは比較的なされていたが、年齢や病状等を考慮した個別的な関わりが十分ではない傾向にあった。これらの調査から、看護者のみならず患者自身も自身の体験に注目して、症状をマネジメントしていくこと、また、患者自身の体験を活用した関わりの重要性が示唆された。今後は、明らかになった視点や援助技術が実際にどの程度実施されているかを把握するための質問紙を作成し、実態調査を行う予定である。
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